孤高の天使
「お前らそんな事したのかよ!」
「あら、大丈夫よ。それ以上馬鹿にはならないと思うから」
リリスのフォローになっていないフォローにルーカスは盛大な溜息を吐いた。
それは魔界で過ごしていた日々を思い起こさせるようなやり取りで、懐かしさが込み上げる。
それと同時に、胸を締め付ける様な心苦しさが襲う。
皆がここにいるということはもう私が天使であるということを知っているといるのだろう。
悪魔にとって天使とは相対する者。
ましてや私は皆の事をずっと騙していたのだ。
なのにイリスやリリス、ルルはどうだろう。
私が天使だということを知っていて天界まで来てくれたのだろうか。
そう考えるととても申し訳なくて、けれどそれ以上に嬉しさが込み上げてどうしようもないのだ。
「イヴ様?」
私の異変に気付いたリリスが顔を覗きこむようにして視線を合わせる。
ぐっと抑えていたものがせり上がる様に喉元まで来て、少し震える声で絞り出す。
「ごめんなさい…」
「イヴお姉ちゃん?」
小さく呟いた言葉にルルが不思議そうに首を傾げる。
裏がないその表情に後押しされるように口を開いた。
「天使だと言うことを黙っていてごめんなさい。みんなを騙していてごめんなさい…」
捲し立てるようにそう言ってギュッと目をつぶった。
沈黙の後、リリスが溜息を一つ吐く。