孤高の天使
「確かに、ちょっと怒っていますわ」
その言葉にズキッと胸が痛む。
リリスの言葉に同調するように「そうね」と呟いたイリスにジワリと目頭が熱くなる。
だんだんぼやける視線を持ち上げイリスの目線に合わせると、イリスは頬を膨らませて少し怒ったように口を開いた。
「だってルーカスだけ知っていて私たちが知らないなんて信用されていなかったのかなと思って少し悲しかったです」
そう言って眉尻を下げて笑ったイリスに、責められると思っていた私は驚きを隠せなかった。
「けれど私たちもイヴ様のお立場だったらきっと隠していました。魔界には四枚羽の天使を憎む者がたくさんいますしね」
「僕は別にどちらでも構わないけど。けどイヴお姉ちゃんはイヴお姉ちゃんだから」
ルルは無邪気に笑ってそう言った。
裏のない笑顔が素直に嬉しい。
「ありがとう…みんな……」
涙を目に浮かべ、心優しい友人たちに笑顔を向けた。
「お礼なんていいですよ。私たちはイヴ様の事が心配でここまできたんですから」
「どうして私がここにいると分かったの?」
ずっと気になっていたことを口にした。
見ればここは天界の外れのようだし、私は結界の中にいたのにどうやって見つけたのだろうかと不思議におもっていた。
訝しげな表情をした私に、ルーカスが自分の背の後ろにいたものをヒョイッと持ちあげ、目の前に持ってくる。
「それはこいつが案内してくれたからだ」
「ラバル!?」
なんとルーカスが持ちあげたのはフェンリルと同様にミニサイズになったラバルだった。