孤高の天使
衝撃的な真実に誰もが口を閉ざしていた時。
『イヴ…もう時間がありません』
シンとした静けさの中、再び神の声が頭の中に響く。
結界に阻まれているからか途切れ途切れに聞こえてくる声に皆が集中して耳を傾けた。
『どうかラファエルを救ってください。ラファエルを救えるのは貴方だけです』
「けれど天界の中心に近づけるのでしょうか。悪魔であるルーカスにも無理だったのに…」
『言ったでしょう?貴方の力は未知数。きっと天界の中心へたどり着けるはずです』
恐らく天界の中心は濃い闇に覆われていることだろう。
魔界でも長くはもたなかった私が辿り着けるかどうか不安だったが、神の声は穏やかだった。
『ラファエルは貴方を待っています』
「私は死んだと思っているのに?」
不思議そうに聞いた私に神は『いいえ』と答える。
『ラファエルが貴方の死を伝えられた時点で闇の力が発動しなかったと言うことは、まだラファエルも貴方が生きているかもしれない…いいえ生きていると信じたいのです』
神の言葉に一筋の光が見えた気がした。
私と同じく驚いた表情をするルーカスやイリス、リリス、ルルと目を合わせて頷く。
『ラファエルが向かうのは神殿です。さぁ早く』
「はい!」
その言葉に背中を押される様に立ち上がれば、待っていましたとばかりにラバルとフェンリルがいつもの姿になる。