孤高の天使



アザエルは時折咳き込みながら肩で息をするルーカスに「おや…」とわざとらしく口を開く。



「貴方は耐えられらみたいですね」


さも合格ですと言わんばかりの笑みでそう言ったアザエルに怒りが込み上げる。

ルーカスで試すなんて酷い…そう思っていた時だった。




ガクッ…―――――

不意にルーカスを拘束していた四枚羽の天使が項垂れ、ルーカスに倒れかかる。

見れば瞳孔を開いたまま口の端から血を流している。

尋常じゃないその光景を前にしてアザエルは興ざめしたように溜息を吐いた。



「やはり四枚羽の天使でも二、三回が限度ですか。自我を失って痛みを忘れてさせていますからどれ程まで耐えられるかはそれぞれですね。まぁ替えはいくらでもいますから大丈夫ですが」


まるで物を扱っているかのように淡々と分析してパチンと指を鳴らした。

すると、ピクリとも動かなかった四枚羽の天使に代わり、新たな四枚羽の天使が空間転移されてやってきた。

見ればその天使は私と共に大天使候補に選ばれたうちの天使だった。





「私のもう一つの能力はいかがですか?便利な能力でしょう」


便利というより、恐ろしい能力だった。

それこそ人を操れる能力と併せて使えば脅威になりうる能力だ。



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