孤高の天使
止まっていたと言うよりは見えない力に阻まれている様子。
おそらく聖剣という対なる存在のものをラファエルの持つ闇の力が弾こうとする働きによるものだろう。
ラファエルの本来持つ魔力は計り知れない。
しかし聖剣はバチッバチッと音をさせながらも少しずつだが確実にラファエルに近づいていた。
ラファエルは未だ俯いたまま動かない。
「このままじゃラファエル様が消えちゃう……」
「気を失っていてもさすがは魔王だけはありますね。このままではあの天使の方が保たないでしょう」
隣で感心したような声でそう言うが、全くもって焦った様子のないアザエル。
巧妙で冷徹な頭はすぐに他の方法でラファエルを滅することを導き出した。
「しょうがありませんね。もう一人を行かせましょう」
「ッ!!」
だめ…そんなことをしたらラファエルはもう耐えられない。
ルーカスッ!
バッとルーカスを見るが、ルーカスは歯を食いしばり首を横に振る。
間に合わない…今度こそ失ってしまう。
『行きなさい』
頭に響いたアザエルの命令にハッとする。
アザエルの命に従うようにもう一人の四枚羽の天使が飛び立ち、ラファエルの頭上に突き立てられている聖剣の柄を掴んだ。
聖剣を握る二人の天使。
四枚羽の天使の聖力を媒体とした聖剣はより光を増し、ラファエルの闇を浸食していく。