孤高の天使
いや…―――――
『イヴ』
やめて…――――
『愛してる』
ラファエル様を消さないで―――
『死ね』
「ッ…やめてぇぇぇッ!」
バチッ―――――
声の限り叫んだ瞬間、胸が焼ける様に熱くなり、辺りが眩いばかりの光に包まれた。
「ッ…なに…クッ…!」
アザエルはとっさに黒衣で顔を覆ったが、その衣服も光に触れて焼け、庇った右腕がジュッと音を立てる。
温かな光は攻撃性のあるようには思えない。
とすると、これは光の粒子?
光の粒子が舞う大気は心地よくて頬を撫でる暖かさに目を閉じた。
不思議……
今まで微力だった聖力が満ちていき、そればかりか増幅するのを感じる。
『どうしたアザエル』
訝しげなミカエルの思念が飛んでくる。
見れば今まで聖剣を握りしめていた二人の四枚羽の天使たちが腕をだらりと下に下げていた。
おそらくミカエルの注意がそれたからだろう。
依然として天界を浸食する闇は広がるものの、ラファエルは無事であることにホッと安堵した。