孤高の天使
『アザエル、返事をしろ!』
『イヴに…やられた…』
『イヴに?』
ミカエルの催促の声に苦しそうな声を交えながら弱々しく応えたアザエル。
先ほど放たれた光が思いの外効いたらしく、アザエルは右腕を押さえながら宙で片膝を突くようにうずくまっていた。
対するミカエルはアザエルの言葉に驚きを隠せない様子だった。
『馬鹿な…イヴの力は私が封じている。今は下位天使並の力しか無いはずだ』
ミカエルは半ば信じ難い様子だったが、突然ハッと息を飲んだ。
『ッ…まさか私の印を破ったというのか?いや、そんなことはあり得ない。あの印は何重にも結んだはずだ…』
独り言のようにぶつぶつと呟くミカエル。
力が満ちるようにぽかぽかと温かいのは聖力が戻ったからなのだろうか、私自身まだその実感がなく半信半疑だった。
『力が戻っていようが戻っていまいが関係ない。どうせここまで転移することはできないからな』
フッとあざ笑うように笑みをこぼしたミカエル。
『アザエル、あいつらを起こせ』
ミカエルはラファエルがいることも気にせず闇に埋もれそうな天使を指した。
しかし、依然として片膝をつくアザエルは荒々しい息を吐きながら答える。
『そうしたいのは山々ですがね、少々魔力を奪い取られた様です』
『クソッ役に立たん奴め!』
ミカエルは悪態を露わにし、吐きすてるように声を荒らげた。