孤高の天使
3章 魔王に囚われた天使
悪魔貴族
『イヴ……』
ぼう…とした頭に響く声。
その声に導かれるようにゆっくりと瞳を開く。
そこは、いつもの夢の中だった。
いつもの湖に、いつもの声。
振り返ったら終わる夢――――
『イヴ』
聞きなれた呼び声にゆっくりと後ろを振り返る。
え………?
いつもなら振り返ったところで夢は終わる。
けれど、今日は違った。
闇に溶けてしまいそうなほど暗い空間でポツンと立ち尽くす。
何も見えないけれど、声だけは響き続けた。
『イヴ、自分…を…るな…』
何を言っているの?
ところどころノイズが入ったように途切れる言葉。
『愛…て……る』
貴方は誰?
闇に向かって叫ぶが、その声は闇に吸い込まれて声にならない。
『だから……』
ズキッ…―――――――
突然頭が割れるような痛みに襲われる。