孤高の天使
何故あの夢にラファエル様が……?
今まで一度たりともあの夢の先を見ることはなかったのに。
やはり私は“イヴ”なのか。
はたまた、“イヴ”の記憶を見せられているだけなのか。
どちらにせよ、“イヴ”と消えた記憶は何か関係がある。
記憶を辿ろうとするも、ズキッと痛む頭。
まるで思い出すことを拒んでいるような…そんな感じ。
ベッドの上で膝を抱えながら痛みに耐えていると…
カタンッ……――――――
天幕の向こう側から小さな音が聞こえた。
ビクッと体を震わせる。
何か…いる……?
心臓が飛び出そうなほどドクドクと心音を響かせながら、ベッドの端まで移動する。
一方の手で紅のシーツを掻き寄せ、もう一方の手を天幕にかざす。
差し込んだ手で天幕を小さく開けた先には、灯りが消えた真っ暗な部屋。
「誰か…いるのですか?」
一瞬の間の後―――――
「おや?起こしてしまいましたかな?」
「あなたは確か……」
「予言者のアザエルでございます。」
恐々と呼びかけた私の声に反応して返ってきたのは、この部屋への出入りが禁じられた者の声だった。
カツカツと近づく足音とともに、部屋の中の明かりが一つ一つ灯っていく。
その灯りは、ラファエルとは対照的な蒼。