孤高の天使
部屋が明るくなったところで目に入るその人。
口元に笑みを浮かべ、けれど目は笑っていない。
蒼い灯に照らされたその姿に、ゾクッと悪寒を覚えた。
「アザエル様、何故ここに?」
「ルシファー様に用がありましてね。しかし、外出中のようでしたから改めようと思っていたところです。」
貴方は出入り禁止では?
そう聞きたかったけれど、答えが怖くて聞けなかった。
もしかしたら、私を闇に葬り去ろうとしているのではないかと思ったから。
アザエル様は私のことを“魔界を滅ぼす天使”と言った。
何故か魔王であるラファエルが私をかばったから、自ら手を下しに来たのかも……
ダメッ……私はまだ死ねない。
「あの……」
「何か?」
何かしゃべらないといけないと思った。
けれど、とっさに出てきた声から先、言葉が続かない。
この状況で何をしゃべってよいかも分からなかった。
そうだ……
真っ白になりかけていた頭にふと浮かんだことを口にする。
「貴方も私の過去を知っているんですか?」
ベッドのすぐそこまで来たアザエル。