孤高の天使
天窓から蒼い光が差し込んでいるが、今は閉まっている。
ということは、扉から入ってきたのだろう。
柔らかな絨毯を踏みしめながら、この部屋にある唯一の出入り口に一歩一歩あるいていく。
そして、重厚な扉に手をあて…
ギィ……―――――
鈍い音を立てながらゆっくりと開けた。
一定の間隔で小さな灯がともる薄暗い廊下。
もちろん人の気配などない。
「アザエル様……?」
一応は呼びかけてみたものの、やはり誰もいない。
スゥ…と頬を撫でる冷たい風にブルっと身震いする。
シーンと静かな空間に自分一人だけだという状況が途端に怖くなった。
ラファエル様……
何故か咄嗟に頭に浮かんだのはラファエルだった。
つい先ほど出逢ったばかりの人だとか、魔王だとか。
そんなことは頭になかった。
ただ、私を見つめる優しいアメジストの瞳だけを求めて走った。
そして、ハァハァと息を切らしながら廊下を曲がった時。