孤高の天使
「行く場所がないからって、何故ルシファー様のお部屋なのよ。ルーカスの部屋でもいいじゃない。そもそも貴方は誰よ。家がないってことは孤児?」
鋭い瞳に心臓がドクドクと嫌な音を立てる。
頭の先からつま先まで品定めをするような視線にじっと耐える。
天使だとばれたらもっとややこしいことになりそう。
彼女はラファエルのことを随分と慕っている様子だから、私が天使であると知られるのは避けたい。
けれど、天使であることを隠しながら、あの部屋に来たという経緯を説明できるわけもなく。
「とにかく、あの部屋からは出て行って。家なら私が用意して差し上げるわ。」
天使だということはばれていなさそう。
けれど、いまだ自分が危険な状態にあることは変わりない。
この悪魔について行っても、天界へは帰れないばかりか一生をこの魔界で過ごすことになりそう。
ほら来なさいよ…と言う悪魔に、何も言うことができず立ちすくんでいると……
グイッ……―――――
何かに後ろから引き寄せられる。
後ろからふわりと現れる漆黒の六枚羽。
「出ていくのはお前だ、アメリア。」
「ルシファー様ッ!」
ラファエル様………?