孤高の天使
明らかに憎しみの色を含んだ視線で私を睨んだかと思えば、無言でくるりと体を翻す。
そして、何も言わずにラファエルの部屋とは反対方向に歩き始めた。
「アメリア。」
ラファエルが呼び止める。
パッと振り返ったアメリアの表情には期待の色。
しかし……――――――
「次はないと思え。」
「はい……」
ラファエルからのとどめの一言に、苦々しげに答えてフワッと飛び立つ。
今度こそ振り返ることなく、呼び止める者もいなかった。
ラファエルの部屋―――――
「イヴ…一人にしてすまなかった。」
ベッドに座った私の前にかがみ、下から見上げるラファエル。
心配そうに揺らぐアメジストと優しく頬に触れられるのは心臓に悪い。
「他に変わったことはなかったか?」
「……はい、何も…」
嘘をついた。
アザエルのことはラファエルに告げることはなかった。
ラファエルは「そうか、良かった…」とほっとした様子を見せたかと思うと、急に黙り込む。
どうしたのだろうか……
不思議に思っているとラファエルがばつの悪そうな顔で口を開いた。