孤高の天使
「さっきは驚かせてしまったな。」
頬にあてていた手を離しながらそう言う。
何のことを言っているのだろう。
ラファエルの言葉に首をかしげる。
「しかし、アメリアにはあれくらいの牽制が必要だったんだ。」
続いたラファエルの言葉に、あっ…と思って首に手をあてる。
瞬間、顔を真っ赤にした。
「あ、あの……気にしないで…ください……」
パクパクと口を動かしながら目をキョロキョロと彷徨わせる。
そんな律儀に謝ってもらっては、かえって意識するではないか。
「け、けど……良かったんですか?アメリアさんは許嫁だったんじゃ……」
ラファエルの表情が一瞬曇る。
そして、硬い表情のまま口を開いた。
「言っただろう?アメリアは望んだ相手ではない。悪魔貴族が俺の地位と魔力欲しさに差し出した女の一人に過ぎない。」
またあの言葉……“貴族”