孤高の天使
「悪魔貴族というのは…?」
「天使で言う上位天使のようなものだ。悪魔にも階級があり、遥か昔からこの土地に住まうごく一部の悪魔が悪魔貴族と呼ばれているんだ。」
じゃぁ、悪魔貴族はとても偉い人たちということだろうか。
「アメリア様は階級が高いのですか?」
「アメリアは公爵家…つまり貴族の中でも爵位の高い貴族にあたる。まぁアメリアの場合は公爵家に生まれただけで、魔力は爵位に伴っていないがな。ルーカスやアザエルも貴族のうちの一人だ。」
ここは天使と違うとこだろう。
天使は全てが己の持つ聖力の大きさによる。
聖力が大きければ地位も高く、小さければ低い。
ある意味弱肉強食の世界だ。
それに比べ、悪魔は世俗性だというのだから意外だった。
魔界こそ弱肉強食が際立つ世界だと思っていたから。
「魔界の城下へ行くときに悪魔貴族の屋敷を見てみるといい。」
「外へ行くのですか?」
驚いた声を上げる。
ルーカスに魔界を案内させるというのは本当だったの?
確かにここへ閉じこめられているよりは良いけど…
魔界から脱出するのに役立つ何かがあるかもしれないし。
けど……――――――
「怖いか?」
ラファエルの問いに、コクンとひとつ頷く。