孤高の天使
これってもしかして……と思った時。
コンコンッ……―――――
「ルーカスです。」
「入れ。」
タイミング悪く扉をノックする音に阻まれ、ルーカスとフェンリルが入ってくる。
「もうイヴは起きて……るな。」
ベッドに座る私を捉えて、そう言うルーカス。
ラファエルが立ち上がり、ルーカスの方へ向く。
「ルーカス、頼んだぞ。」
「はい、お任せください。」
ラファエルに頼られているのが嬉しいのか、元気に返事をするルーカス。
きっと尻尾があったら、千切れんばかりに振っていただろう。
じーっと見つめていると、ルーカスが私の視線に気づきハッとする。
コホンとわざとらしく咳払いをして…
「行くぞ、イヴ。」
照れ隠しなのか、少しぶっきらぼうにそう言って先に飛び立つルーカス。
「気を付けて行っておいで。」
ラファエルの優しい言葉に、頬を染めながらコクンとひとつ頷く。
「いってきます………」
小さな声で応えれば、ラファエルが軽く目を見開き、嬉しそうに柔らかい笑みを浮かべた。
そして、ラファエルは私の体をふわりと持ち上げる。
「フェンリル、イヴを頼む。」
いつの間にか特大サイズになっていたフェンリルの背にストンと下ろされた。
クーンッと一声鳴いた後、フェンリルが天窓めがけて飛び立った―――――