孤高の天使
もう一つの魔界
柔らかく笑ったラファエルの顔が頭から離れない…
優しくて、温かい笑顔。
ギュッと胸が締め付けられる理由を私はまだ知らない。
「イヴッ!」
「えッ!?」
突然大きな声で呼ばれ、ビクッと体を震わせる。
声のした方を向けばルーカスの呆れ顔。
「え!じゃねぇよ。貴族の屋敷が見たいんだろ?」
「あ……」
そうだった、悪魔貴族の屋敷を見ておいで…と言われたんだった。
「ほら、あれが貴族の屋敷だ。」
宙に浮いたルーカスが指す方向に見えたのは、大きな屋敷が立ち並ぶ一帯。
「ルーカスの家はどこ?」
そう聞くと、ルーカスはげんなりした顔でしぶしぶ手を動かす。
「あそこだ……」
「え……っと。」
目に入った途端、何と言ってよいのか迷った。
指差した方向には、周りの屋敷とは少し変わった…
いや少しどころではないかもしれない。
真っ白な壁塗りに青い屋根。
大きな窓は金の縁で彩られ、大きな庭にはブロンズ像が添えられた大きな噴水。
ルーカスの家は荘厳で落ち着いた屋敷が並ぶ中で明らかに浮いていた。