孤高の天使
天界からの使者
城への帰り道―――――
ちらりと前を見れば、前を飛ぶルーカス。
俺たちは堕天使だ――――
ルーカスから告げられた言葉は耳を疑うような告白で…
けれどルーカスのまっすぐ見据えられた瞳と硬く強張った表情が嘘でないと言っていた。
ルーカスはその後口を噤み、私もまた予想を超えた答えに言葉を失った。
唖然としているところに後から来たフェンリルとルルが現れ、今回の魔界探索は幕を閉じたのだった。
なぜ悪魔であるルーカスが天使なのか。
羽も黒くて、魔王に使えるルーカスが…
いや…ルーカスは“俺たち”と答えていた。
それってルーカスの他にも堕天使がいるということ?
そもそもルーカスが天使だったとして、なぜ天界から堕天したの?
堕天の烙印を押された天使など聞いたことがない。
けれどルーカスが嘘をついているようにも見えなかった。
悶々と様々な疑問を巡らせていれば…
「着いたぞ。」
ハッと気づいた時には、もう城に戻ってきていた。
ルーカスと目が合うが、聞ける雰囲気ではなかった。
「ルシファー様がお呼びだ。部屋に戻れ。」
「はい……今日はありがとうございました。楽しかったわ。」
ほら…と差し出される私の荷物。
城下で買ってもらったそれを受け取ってルーカスと別れた。