孤高の天使
そこに立っていたのはイリスでもなく、リリスでもなく…
硬い表情をしたルーカスだった。
久しぶりに顔を合わせることが気まずいのか、視線はそらされている。
「ひ、久しぶりね…ルーカス。」
「あぁ…」
一言そう言ったっきり、また沈黙が訪れる。
もしかして…ラファエル様が昨日言っていたことってこのことなの?
最近様子のおかしかった私たちを引き合わせて、仲直りさせようと?
何にしても笑顔よ、笑顔。
ルーカスとこれ以上気まずい雰囲気が流れるのは嫌だもの。
「今日はどうしたの?私に会いに来てくれたの?」
わざとらしさは残るものの、なるべく自然に笑いかけながらルーカスに話しかけるが…
「ルシファー様の命でお前の客を連れてきた。」
硬い表情のままのルーカスは短くそう言った。
業務的な物言いをするルーカスとどうしたら元通りになれるかと考えるより今は…
「私にお客様?」
驚く私に「あぁ」と一言答えるルーカス。
私にお客様って……
魔界に知り合いはいないんだけど。