孤高の天使



ルルかしら…と思っていると「入れ」とルーカスが扉の向こうに声をかける。




キー……―――――――

ゆっくりと扉を押して入ってきた人物にルーカスの時とは比べ物にならないくらいに驚いた。

悪魔に付き添われながら入ってきたその者は、私を見つけてパァっと表情を明るくする。




「イヴ!」

「ラナッ!」


短い金髪を揺らしながら駆け寄った親友を抱きとめる。

私に抱き着いてきたラナを見届け、ルーカスと付き添いの悪魔は部屋から出て行った。




「本当にラナなの?」

「えぇ、そうよ。」


おずおずと聞けばやっと距離をとり、嬉しそうに私の手を握り締めるラナ。

それは確かに私の知るラナだった。




けれど――――――


「どうしてここに?」


素直な疑問を口にすれば、ラナが少し不服そうな顔をして口を開く。




「魔王が貴方との面会を一度だけ許すって。」

「ラファエル様が?」


あんなに天使を嫌っているラファエルが魔界に天使を迎えるなど思いもしなかった。

けれど、これで昨夜の言葉に納得がいった。

天界へ帰すのは無理でも、天使を魔界に呼び寄せることは出来る。

これはラファエル様なりの譲歩ということね。




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