孤高の天使
それでも、嬉しかった。
もう会えないと思っていたから―――
ふふっと場違いな笑みを見せれば、案の定ラナから「笑ってる場合じゃないでしょ!」と一喝される。
そして、心配そうな表情で詰め寄られる。
「イヴ、貴方どうして魔界に?あの日、貴方以外に懐かないラバルが中位天使の居住区にいた私のところまで来たから驚いたわ。」
「ラバルが?」
ラバルは気位が高く、自分が認めた者にしか懐かない聖獣。
私がどこに行くにしろラバルがついてきたけれど、ラバルは単独で天界の居住区にはいかなかった。
「まっすぐ私のところに来たからきっとあなたに何かあったんだろうって。それでラバルについて行ったら、貴方の家はもぬけの殻だし。時間がたっても戻ってこないし……心配したんだから。」
一気に捲し立てたラナは言い終わった後に息を切らしていた。
「ごめんなさい…探してくれてありがとう。」
「当然よ、私は貴方のたった一人の親友なんだから。こんな捻くれ者、イヴしか相手にしてくれないんだから。」
感謝の言葉を伝えるとラナは頬を少し赤らめながらそっぽを向いてそう答えた。
賛辞の言葉だとか、感謝の言葉だとか…素直に受けることの少ないラナがそう返してくれたことに幸せを感じた。
けれど、それも恥ずかしかったのか「それで…」と早々に話を切り替える。
「さっき私にどうして魔界にいるのか聞いたけど、そういうイヴはどうして魔界にいるのかしら?」
「あぅっ!」
ピンっと指先で額を弾かれ、変な声が出る。
いつもの調子になったラナに、ひりひりする額を抑えながら口を開いた。