孤高の天使


「天界の中心部から離れた湖に降り立った時に真っ黒な闇に引き寄せられて、気づいたらここにいたの。」

「闇って……魔王じゃないの?」


だいぶ話を端折ったが、勘の良いラナはすぐに察してくれた。

事の犯人をラファエルだと言うラナ。




「最初はそう思ったけど、違うみたい。」


だって私が魔界にいたことに一番驚いていたのはラファエル様だから。




「じゃぁ誰が貴方をここに引き寄せたというの?」

「分からないわ……」


ラナの尤もな疑問に私も困惑する。

考え込む私にラナはグっと私の手を握る力を強めた。





「なんにしてもここに居ちゃダメよ。魔王の傍になんて置いておけない。神がすぐにでも貴方を天界へ呼び戻すように言っているわ。」

「大天使を決めるためよね。」


もうすぐ聖なる母樹の花が散る。

そうなれば神の寿命も尽き、あらゆる生命の危機が訪れる。

その危機を回避するには4人の大天使を揃え、次期神を決めるしかないのだ。




「けど、どうやって天界へ戻るの?私は監視されてるのに。」


こうしてラナと話している今でも、扉の向こうに監視がいる。



< 95 / 431 >

この作品をシェア

pagetop