孤高の天使
「私は天使なんだから。」
尤もな理由だ。
「それに言ったでしょう?魔界に来るには魔王の力が必要だって。結界が二重三重に張られてるのに来れるわけないわ。」
「そうよね…変なことを言ってごめんなさい。」
じゃぁやっぱり城下町の裏通りで私が見たラナは見間違い?
けれど、あれは確かにラナの容姿をしていた。
私がラナを見間違えるはずないし…
頭の中でぐるぐると考えていると―――
ドンッドンッ――――
なかなか出て行かないラナにしびれを切らしたのか、ルーカスが強く扉を叩く。
バンッ――――――
ラナがそれに負けず劣らず激しく扉を開け…
「煩いわね!行くっていってるでしょ!」
扉を思いっきり開けた先に立っていたルーカスに声を張り上げた。
ラナの逆切れを初めて見たルーカスは若干押され気味で後ろにいた悪魔は明らかに怯えている。
「じゃぁ…イヴ、またね。」
「あ………」
思わず出てしまった小さな声がラナの足を止める。