誰にもナイショ♪ヒミツな関係
でも、まぁ……恋なんてしなくても平気だよ。
恋人がいなくても不自由になることなんてないんだよね。
そんなふうに思いながら家に帰るまでの道のりを歩く。
「ただいまぁ」
家に着き玄関を開けてそう言ったら、リビングから出てきたお母さんがこちらに向かってきた。
「おかえり梨乃」
靴を脱いでいると、そう言ったお母さんの声が真後ろから聞こえてくる。
「うん。ただいま!」
振り返ってもう一度そう言うと、自分の部屋に行くために階段に向かって歩いて行った。
「あ!ちょっと梨乃」
だけど、そんな私を呼び止めるお母さんの声。
その声に反応して進めていた足を止めて振り返る。
「ん?何?」
「あとで話があるからね」
…話?
なんだろう。
「大事な話だから」
「う、うん」
取りあえず、分かった…とだけ言うと、お母さんがドアの向こうのリビングに戻って行った。
だから、私も部屋に戻るために階段を上がった。