君のトナリ
美香は動揺しながら否定する私に、優しく微笑んだ。

「あいを見てたら分かるよ。春斗と一緒にいるとすごく幸せそうに笑ってるもん。それに春斗の話をするあいはキラキラしてる。それってもう好きってことでしょ。恋だよ恋!!」

そうなの?私春斗といると幸せそうに笑ってるの?

春斗の話をしている私ってキラキラしているの?

美香がキラキラしながら、長い片想いをしている相手の比呂のことを話す時みたいに、私もキラキラしているの?

好きなの?

まだ3月なのにポカポカしているベランダにいるとすごく穏やかな気持ちになる。

それなのに花壇の周りでまだはしゃいでいる春斗を見ていると、ドキドキしてくる。

その時、春斗が突然ベランダを見上げた。

目が合ってしまった。

その瞬間、心臓が大きくドクンと音をたてたかと思うと、あり得ないくらいの速さで動きだした。

ドキドキドキドキ……!!!!!

春斗はすぐに目を逸らしたけど私は春斗を見つめたまま動けなくなってしまった。

今、気づいちゃった。

自分の気持ち。

目があっただけでこんなにドキドキするなんて今までの恋にはなかった。

熱しやすく冷めやすいといわれる私はそれなりに恋をしたきたけど、

春斗に対する気持ちはどこか違っていた。

だって自分の気持ちに気付くのがこんなタイミングなんて…

『あ〜、私、春斗が好きなんだ。』


中2の終わり、私は春斗に恋をしていることに気づいた。


********************

ねぇ、春斗。

このとき、私の初めての本気の恋が始まったんだよ。

これから初めて感じる感情は、春斗に本気で恋をしたから知ることができた。

だから今でも春斗には感謝している。

ありがとう、私に本気の恋を教えてくれて。
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