君のトナリ
できれば恋バナは避けようと思っていたのに。

「…え?」

直球の理子の言葉に声を詰まらせる。

「好きな人?…何で?」

少し震える声を通り過ぎていく風がフォローしてくれた。

「…最近あまりあいと話してなかったし、恋してるのかなって思って。」

曖昧な返事をする理子。

私はどう答えたらいいのか分からず、ただうつむいたまま歩いていた。

理子は大人しい性格だけど、時々かなり積極的になる。

こんな時にその性格を発揮しなくても…

なんて考えていると私から目を逸らしたまま理子がしびれをきらしたのか、またまた直球を投げてきた。

「春斗のこと…好きなの?」

私は声が出なくて。

理子の顔をゆっくり見ると、理子もそっと私に振り返った。

なんて言おう、好きって言っちゃうと理子なんて言うんだろう。

頭の中はパニックで、暖かい風が2人の間を通り抜けていく音がやけに大きく聞こえる。

「え…っと。あの…、その…」

人前で話をしたり、クラスの代表になることに何の抵抗もない私が、

目立ちたがり屋で、常に元気な私が、

いつもなら何でもハキハキ話す私が、

保育園からの友達の理子の前でもじもじしていた。

そんな私を見て理子が吹き出した。

「ぷっ…!!あはは、あい面白すぎ!!くくく!!!」

キョトンとしている私を見てさらに大笑いする理子。

「私がまだ春斗のこと好きだと思って言えなかったんでしょ?
ごめんね、変な聞き方して。でも、いつも胸張って何でも話してるあいが春斗のこと聞いたからどんな反応するんだろうって、ちょっとからかっちゃった。」

ぺロっと下を出して笑う理子。
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