君のトナリ
怒ってないんだ、と思ったけど理子も春斗が好きなんでしょ?なんて聞く勇気はなく…

すると理子が

「私ね、葉山先輩と付き合うことになったんだ。あい知ってるかな?」

葉山?

そう言えばいつか理子がかっこいいって言ってたっけ。

「春斗と別れてからも気持ちが消えなかったんだけど春休み前に葉山先輩から連絡がきて、告白されたの。」

理子は葉山先輩に告白されたことがすごく嬉しくて、春斗に対する気持ちはもう恋じゃないんだと気付いたらしい。

「だから私に遠慮なんてしなくていいんだからね!!頑張って!!」

笑顔で私の背中をポンと叩く理子。

「うん!!頑張る。理子、ありがとう。」


理子と別れて1人で家まで続く田んぼ道を歩いていると、心の中がすっきりしている自分がいることに気づいた。

ずっと仲良しだった理子に隠し事をしていたことが、こんなに心の中で大きなしこりになっていたなんて。

理子が「春斗のことが好きなんでしょ?」って聞いてくれなかったら、私はずっと理子に気持ちを明かさないまま過ごしていたのかな?

ノリも美香も私の行動で春斗が好きってバレバレだよって言っていたから、理子は気付いていたのかな?

それなら理子は辛かったはずだよね。

仲良しの友達に、恋の相談をされないなんて。

しかも、自分の元カレが好きって見ていたら分かるのに、それを隠されているって気づくのって絶対辛いはず。

理子、ごめんね。

頑張ってって言ってくれてありがとう。
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