君のトナリ
キョトンとしている春斗。
あ〜ぁ、私彼女でも何でもないのに。
ただの片想いなのに図々しいこと聞いちゃってる。
「やっぱりいい。何でもない。」
やっぱり部活に出よう。美香にこれ以上心配かけちゃいけないし。
そう思って部室の方へ方向転換して歩き出そうとしたとき…
「付き合ってくれって言われた。」
「えっ!!!」
春斗がさらりとそんなことを言ったから、私は自分でもびっくりするくらい大きな声を出してしまった。
「でも断った。」
春斗は淡々と話している。
私の頭は軽くパニックになっているのに。
「何で?」
なのに冷静を装ってそんなことを聞く私は、本当に図々しいのか積極的なのか…
「好きじゃないから。」
春斗は軽そうに見える見た目なのに、意外に真面目な性格。
だから断った理由は本当なんだと思う。
好きじゃないって聞いただけで私は安心してホッとしている。
それに気づいた私はこんなに春斗が好きなんだって思った。
2年生の女の子に春斗が呼び出されたって聞いただけで不安になって泣いちゃったり、
春斗が断ったって聞いただけで安心したり…
本気で恋をするとこんなに忙しいんだ。
春斗を好きって気持ちがどんどん溢れてくるみたい。
春斗が断ったって聞いた瞬間から、私はスキップして部室に行けるくらい元気になっていた。
でもそんなことすると春斗にまで気持ちがバレてしまうから、そこは冷静にゆっくり歩いて部室へ行ったけど。
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この時の私はもう隠せないくらい春斗に恋をしていたよ。
全く知らないライバルに、こんなにやきもちを焼いてしまうなんて思ってもみなかった。
こんなに人を好きになれるんだって思ったんだよ。