君のトナリ

伝えたい

ミーンミーンミーン…

蝉(せみ)の鳴き声がうるさい季節到来。

汗っかきの私にとって夏は天敵…。


「もうすぐ夏休みだね。あいはどこか行く予定あるの?」

美香がルンルン気分で話しかけてきた。

あと1週間で夏休みという今日は、テストが終わりみんな浮かれ気分。

美香もその1人のようで、かなり嬉しそう。

「お父さんがどこかに旅行に行こうかって言ってたけど、まだ場所は決まってないみたい。でも今年は暑そうだもんね〜。」

私の家族は仲が良い。

年に2回は家族旅行をするし、服を買うときは必ずお母さんとお出かけする。

だから今年も例年通り、どこか近場でもいいから旅行に行こうかって話になっている。

「そうなんだ。いいなぁ。私もどこか行きたいって言ってみよう。」

美香の親は2人とも学校の先生をしているらしい。

だから、きっと夏休みも忙しんだろうな。

「でもさ、夏休みは嬉しいけどうちら受験生だよね…夏休み終わると勉強ばっかりになりそう……だから今年の夏休みはいっぱい遊ぼうね!!」

そっか。私たち受験生だ。

最近は春斗のことばっかりで受験生だってこと忘れてた。

「でも夏休み明けても文化祭と体育会があるから当分は、勉強だけって生活にはならないんじゃない?」

そう美香に告げると

「出た!!お祭り好きのあいだ!!中学最後の文化祭と体育会だもんね。それも楽しもうね!!」

そんなことを話しながら2人で部室へ向かっていると、春斗が下駄箱で男子数人と話していた。

その中の1人がチラッと私を見た瞬間、こそこそと話しをして集まっていた男子たちが散らばった。

その輪の中心にいた春斗は、私を一度も見らずに部室の方に歩き始めた。

その行動に違和感を感じた瞬間、

「あいーーーー!!!!!」

理子が大きな声を出して走ってきた。

「どうしたの?」
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