君のトナリ
今にもこぼれ落ちそうな涙を両目に溜めたまま、声のする方に振り返ると…

「春斗…?」

涙のせいで少し視界が歪んでいる。

でもここにいるのは間違いなく春斗だ。

私に声をかけてくれた。

春斗がいた。

まだ帰ってなかったんだ。

いろんな思いが混ざって涙がこぼれそうになった。

走ったせいで汗だくの私。

校内には部活生以外の生徒はほとんど残っておらず、いつもよりひっそりとしている。

「春斗、話があるの。だから探してた。良かった…まだ帰ってなかったんだね。」

ただそれだけしか口にしていないのに涙が落ちてしまった。

「あっ…いや先生に呼ばれてたから。」

汗だくで泣いている私を前に、春斗は困惑しながら答えている。

ごめんね、困るよね。

だけど…想いは言わないと伝わらないから。

ギュッと目をつぶって拳に力を入れた。

「春斗、もう知ってると思うけど私、春斗が好き。付き合って。」

月並みのセリフ。
だけど私の素直な気持ち。
精一杯の言葉。

告白は目を見て言うんだって、いつか何とかってゆうテレビ番組で言ってた気がする。

でもそんな余裕ない。

言葉を声に出すだけで精一杯。

少し経ってから心臓がすごい速さで動いていることに気付いた。

春斗に聞こえてしまいそう。
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