君のトナリ
そう思い、そっと背後から春斗に接近。


後ろから春斗の学ランにポケットに手を突っ込んだ。


と同時に、運動神経のいい春斗は反射神経もよくて、私の指がポケットの底につく前に振り返ってしまった。


「うわっ!!」


春斗のあまりの反射神経の良さにびっくりしている私に


「くくく…!!何してんの?」


と笑いをこらえながら私に話しかけてくる春斗。


何してんの?…って分かってるクセに!


しかしここは冷静に。


「ペン返して。春斗が盗ったんでしょ。」


決めつけるように言う私に余裕の表情で、さぁ〜?と答える春斗。


「もう〜!早く返して、休み時間終わっちゃう!!次の授業で必要なの!!」


語尾を強めていっても春斗には効かない様子。


私は学年の中でも2番目くらいに身長が高く、成長期前…と思われる春斗と同じくらいの身長だ。


男勝りと言われてきたから男女の力の差は考えず、無理やり春斗のポケットに手を突っ込んだ。


春斗は少し抵抗したけど今度は私の勝ち、ペンを取り返した。


少し悔しそうに笑っている春斗に
「へへ〜ん!」
と鼻で笑ってみせると、休み時間の終了を告げるチャイムが鳴った。


「もう盗らないでよ!」


そう言い残して自分の教室へ走って戻った。

< 5 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop