君のトナリ
そろそろ春休みと言う時期になり、私は春斗を見つめることが多くなっていた。

ノリは赤ペンを春斗に盗られた日から、時々ニヤニヤして何かを企んでいるかのように私を見てくる。

「何!?」と聞いても返事はいつも同じ。

「別に~♪」

だから最近はもう何も聞かない。

今年の冬は暖かい方だった、気がする。

雪は降ったけど積もることはなかった。

3月になってから一段と温かさが増して、私はお気に入りのベランダで休み時間を過ごすことが多くなっていた。

学校は3階建て。

2年生の私たちはなぜか3階。

毎年、何年生が何階かはクラス発表があるまで分からない。

私はベランダで過ごす時間が大好き。

だから、3年生になっても1階だけは嫌だな、と常に思っている。

大親友の美香もベランダが好きみたい。

いつも一緒にいるからどちらかがベランダに出ると、つられて一緒に出てしまう。

その大好きなベランダで、いつものように昼休みに美香と話をしていた。

特にこれといった話はしていなかったけど。

ふとベランダの下を見ると、花壇の近くに男子たちが上靴のままはしゃいでいた。

その中に春斗もいて。

美香に話をしながらも無意識に春斗を追ってしまう。

楽しそうにしている春斗を見ていると私も楽しくなってくる。

一緒にはしゃいでいるとドキドキしてすごく幸せな気持ちになる。

これは何だ?

熱しやすく冷めやすいと言われる私は、この気持ちが何なのか分からなかった。

そんな気持ちを美香に話そうとしていた時、

「ねぇ、春斗のことが好きでしょ?」

と美香に言われた。
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