先生の隣
ガラガラ…
後ろのドアをゆっくり静かに開けたつもりが桐原先生は振り返る。
「長谷川、遅刻」
クスクスとクラスから笑い声が漏れる。
「はいぃ…」
そっと瞳をみると不安そうな顔で私をみていたので、ニッとピースサインをみせた。
ポカッ
「いたっ!!」
見上げると桐原先生が数学の教科書を丸めたものを持っていた。
「遅れて入ってきてニヤニヤしないで下さい。数学にピースはいりませんよ」
そう言い、もう一回叩くと教卓に戻っていった。
ドキドキ…
あぁ…なんかヤバイ。
桐原先生と話すとなんだかドキドキしちゃう…
キュッと胸が捕まれるような感覚だった。