Magic Rose-紅い薔薇の少女-
次の言葉までの数秒の間。
ほんの数秒。
されど数秒。
ローズにはその数秒が何時間にも感じられた。
「お前は確実に殺される。
まぁ、アイラビアの貴族に嫁いでも運命は一緒だがな」
アイラビアのきぞくに、とついでも
わたしは殺されるって?
それは、どういう……?
「それに下手に街へは行けなくなる。
お前のその赤い瞳。
その瞳で正体はすぐにバレるからな」
ローズの、透き通るような綺麗な赤い瞳から涙がポロポロと流れ落ちる。
まだ六歳の彼女にこの運命は酷すぎた。
「いや、だ……」
震えていてかつ、絞り出すような声だった。
「わたしはまだ、死にたくない!!」
“死にたくない”
そう訴える彼女の声はさっきほど震えてはいなかった。
寧ろ、決意の色が伺えるような、そんな声だった。