Magic Rose-紅い薔薇の少女-
「番人様、今夜はお疲れでしょう?」
狐は安全そうな所まで着くと腰を下ろした。
私は彼女に包まれるようにして寝た。
「ふふふっ、あったかいわ……ありがとう」
「いえ、いいのですよ」
私がすやすや眠る中、
狐は目を覚ました。
「…………番人様」
狐は私の頬をペロリと舐めた。
私は、狐の想いも知らず、夢を見ていた。
――暖かくて、心地よい。
誰かの腕のなか。
私は赤ちゃん。
あなたは?
逆光で顔がよくわからない。
『ローズ』
私の……
光が強くなり、世界が真っ白になる。
「……様!」
「えっ!?もう、朝なの!?」
しかし辺りはまだ暗い。
「いいえ、ですが此処には魔物がうじゃうじゃいます。
早くこの森を抜けなくては……」
狐と私は立ち上がり、私はまた狐の背中に乗る。