Magic Rose-紅い薔薇の少女-
「後継、者……ね」
私には、その言葉がとても重いわ。
「眠ってもよろしいですよ」
「ううん、もうたっぷり寝たから……」
ヘルシオン家の後継者……。
「番人様、門が見えてきましたよ」
門……?
あ、本当……。
狐は門の前で止まった。
「狐……?」
「私は此処からは行けません」
取りあえず、私は狐の背中から降りた。
「いけないって、どういうこと?」
「此処は“あの方”の記憶なのです」
あの方?
「“あの方”が認めた人のみが入れるのですよ」
「あの方って何なの?
何故貴女を認めないの?」
あの方とか、あの子とか、皆、何を言っているのか……。
「いいのですよ、これは私の定め……決まり事なのです」
定めとか、決まり事とか……そんなの……。