Magic Rose-紅い薔薇の少女-


『うっ……ああああああっ!!』

水仙の力が暴走した。

そして、サラの身体を貫いた。

血が滴るサラは立っていられなくなり倒れていった。

『スイセ、ン……』

『サ……』

『あな……は……、っと……』

もうしゃべるのも辛い筈なのに、サラは言葉を一生懸命紡いでいく。

『ローズを……す、きに……』

『サ、サラあぁぁぁぁ!!』

サラはもう、喋ることは無かった。
ピクリとも動かない。

『道は、他にもあったのに、私はサラを…………殺してしまった。』

水仙は消えた。
そこにはサラの遺体だけが取り残された。


サラの死の悲劇……。

魔獣なんて、全て嘘じゃない。

「触れる……」

私はその小さなお姉様の身体を抱き締めた。

私の愛しいお姉様の亡骸。
もう、戻らない。

私の記憶に、生きているお姉様はいない。

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