Magic Rose-紅い薔薇の少女-
石像はいきなりカッと目を開いた。
「きゃあっ!」
目が、開くなんて……
あり得ないわ、だって、これは……。
石像は抱えていた花を、
ゴツッ、パリンッ、バキッ
と落とし、踏みながら近づいてくる。
「!?」
石像は手を開き問いかけた。
「汝……名をなんと申す」
「ローズ・ヘルシオンです……」
「ヘルシオン……?」
その名前を聞くなり彼女はピクリと反応し始めた。
「私の、私の……一番嫌いな名前!!」
私は身の危険を感じとり、椅子の影に隠れた。
彼女は、私の“勘”だけども、きっと……
「ヘルシオォォン!!」
一代目……カルタス。
「貴女の名前は?
貴女だけ名乗らないなんて不公平じゃない?」
「ルーシー・カルタス」
石像にも、自我があるのかしら……?
「この世で一番名の知れた魔女だ」