Magic Rose-紅い薔薇の少女-


「遂に来るのか」

紫色の髪、同じ色の瞳の美人。

「アゲハ、出番ですか?」

「手加減は無しって言っただろう?甘いんだよ」

「言葉使い直したらどうです?」

「ハッ、惚れた弱味か?
…………水仙」

「黙っていれば綺麗なのに……」

「なんだと?時間がねんだよ。
餓鬼に構ってる暇なんぞねぇ」

バサリと羽を出す。
アゲハチョウの羽。

綺麗な綺麗な。


彼女は飛び立った。
リンプンを撒き散らし、綺麗な大きなアゲハチョウは飛んで行く。


主の為に、主の為だけに彼女は戦う。

主は彼女の全てだから……。



「しけた城」

城の玄関先、ここで彼女は敵を仕留める。
上に行かせてはならぬと。

主の娘はそう言った。

主の娘はアタシの主。

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