Magic Rose-紅い薔薇の少女-


「アタシを拾ってくれたご主人様はもう居ない
だからアタシも逝って、恩返しを……

アタシを殺せ、ヘルシオン。」

彼女は両手を広げ、全てを受け入れた。


「アゲハ……」

「さぁ……」

「幸せに」

「ハッ!大丈夫だ」


――きっと許してくださる。

  アタシの飼い主(ご主人様)……。

アゲハはいなくなった。
消えてしまった。

この世界に遺体は残らないの?

それがせめてもの救いと思う私はおかしい?

……私はこの手で人を殺めた。
敵。たしかに敵。

だけど命に変わりはない。それでも、どんなに犠牲を払っても私は進まなければいけない。

早く行かなきゃ……!!

『待って!!』

頭の中で、声がする!?

『急いじゃ駄目』

身体が動かない。

まるで見えない誰かに押さえつけられているような……。

「何故……?」

『兎に角急いじゃ駄目なの!』

「私は早くサラを助けたい!!」

『そう、貴女なら出来るわローズ』


きっとサラはこの城の頂上にいる筈。

その頂上まで、不思議な程、何もなかった。


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