Magic Rose-紅い薔薇の少女-
シルバーの手が私の頬に伸びて涙を拭った。
「よかっ、よかったぁ……」
シルバー……。
ぎゅっと頬に伸びた手を握りしめる。
今度は涙の代わりに、笑みが漏れる。
本当に、よかった……。
シルバーの目の色、金色だったのね。
「って、シルバー……怪我してるわ!」
シルバーの頬に傷が出来ていた。
捕まったときに、つけられたの?
「治せるのか?」
私は、まだ治癒魔法なんて……
「いいえ……」
「そうか」
そう言うと自分で治癒魔法を使い傷を治した。
何よ、治せるんじゃない……。
「取りあえず此処から逃げようローズ」
──ローズ
さりげなく、呼ばれた私の本当の名前。
シルバーが私をローズって呼ぶの、初めてじゃない?
「あっ、でも……シャルディが」
シルバーは私を立たせてくれると両肩を掴んだ。
「大丈夫だから、心配するな」