Magic Rose-紅い薔薇の少女-
風が人形を覆う。
「まーまーー!!」
ブチッと音をたてながら、人形の右腕が千切れ、中の綿が顔を出した。
主人を待って、寂しくて、悲しくて
人形には主人しかいないから……
主人がスベテだから……。
他には、何もないから。
私は堪らなくなり、人形を抱き締めた。
「まま……」
「うん……
おやすみよ、ね?」
「ま…………ま……」
パアァァァと腕の中の人形が光、元の人形へと戻っていった。
周りを見渡せば其処はまるで誰かの部屋。
きっとこの子の“まま”の部屋。
ぬいぐるみが置いてある棚の中心にその人形を置く。
この子たちの“まま”は戻ってこない。
だって、きっと…………
エクセディだもの。
「ローズ、よくやった」
そう言ってシルバーは私の頭を優しく撫でてくれた。
「……うっ……わあぁぁぁん!」
少しだけ、その優しさに甘えても、いいよね?