Magic Rose-紅い薔薇の少女-
あの頃はまだレディで、ローズ・フェイバリーで……。
私はシルバーに手を引かれ、城の外に出た。
そこには既に千里がいた。
「千里!」
もう千里は狐の姿に戻っている。
真っ黒な大きな狐に。
「もうそんなに時間が経ったの?」
30分くらいって言ってたわよね、たしか……。
千里は大分苦戦していたみたいで、体が赤く染まっていた。
千里の血か、相手の反り血はわからない。
だけど…………。
「お気になさらず……少々魔物が、です」
まだそこらを飛び回る魔物が。
「とにかくこの場から離れた方安全です!
さぁお二人とも私の背中にお乗りください!!」
狐の背中に私が乗り、その後ろにシルバーも飛び乗った。
千里は私達が乗ったのを確認すると、降り注ぐ矢の中を潜り抜けながら走り出した。
私目掛けて降ってくる矢をヒラリとかわす。