Magic Rose-紅い薔薇の少女-
その時だった。
千里の目の前にいきなり人が降ってきた。
仮面を付けた男が。
仮面男は負傷していた。
彼を攻撃したのは私達側の人間なの?
否、人間じゃないかもしれない。
千里はさっきからぼーっと立ち尽くしていた。
「千里……?」
男を見つめている。
知り合い?いや、でもそんな筈は……。
でも、私にそんなこと言いきれない。
わからない。私は何も知らないのだから。
「千里、どうかしたの?」
「この傷のつき方は……いやでもそんな…………」
届いてない?
本当に千里、どうかしちゃったの?
「おい」
「シルバー……」
「コイツ何があったんだ?」
「わからないの。仮面を付けた男が降ってきてからこの調子。
声が聞こえてないみたい」
「そうか……」
シルバーはそれきり黙ってしまった。
「でも、やっぱりこれは……!」
千里は確信したような声色になった。