Magic Rose-紅い薔薇の少女-
「それで構いませんね?番人様、シルバー様」
「勿論よ」
「ああ」
私は千里の背中から降りた。
「千里」
響堵さんは、優しく、だけど芯の強い声で千里の名前を呼んだ。
そう、まるで愛しいモノを呼ぶように……。
「はい……?」
「不吉とされるお前がどれだけ吉を呼べるかだからな。」
「響堵兄ちゃん……」
不吉と、される?
なんの話なんだろう……?
「さぁ、番人様、いきましょう」
「あ、は、はい!」
響堵さん、狐に変身はしないの?
時間とか、大丈夫なの?
「千里(アイツ)に“あの目”で見られたら最期ですよ」
「あの目……?」
「黒い狐に受け継がれる“死の瞳”と呼ばれるものです
でも千里はその力が恐ろしくて滅多に使いませんけどね」
千里……。
「番人様!走りましょう!」
「え……?」
グイッと響堵さんに手を引かれ、私は走り出した。
さっきまで私の立っていたところに矢が刺さった。