Magic Rose-紅い薔薇の少女-
私達はそのまま走り抜けた。
シルバーと千里と落ち合う場所で息を整える。
「危機一髪でしたね」
「あ、ありがとうございます……」
「いいえ、当たり前の事をしたまでですから」
そうやって謙遜するんだわ。
千里も、響堵さんも……。
「番人様!」
「え?」
「伏せてください!」
そんな響堵さんの声を聞き、振り返る。
その瞬間。
響堵さんは私を庇って背中に矢が突き刺さった。
貫通した。
「……!!」
目の前で射たれた。
ドサリと倒れる響堵さん。
「響堵さ……」
私は急いでしゃがみこみ響堵さんを抱き締めた。
もう彼に危害が及ばないように。
守るように。
そして、傷を癒すように……。
ああ、私が治癒魔法でも知っていたらきっと……。
そしてまた、木の影に隠れていたカルタスのモノによって矢が引かれていることに、私は気付かなかった。