Magic Rose-紅い薔薇の少女-
「狐に戻って響堵(コイツ)を運んでくれ
俺はローズをおぶってく。」
「わかりました」
響堵を乗せた千里は複雑な表情をした。
千里には悪いが……今本当に嫉妬なんてしてる暇はない。
千里にもきっとそれはわかってる。
だけど……いや、だからこそ……。
「行くぞ」
「何処へ?」
「お前の村、あるんだろ?この世界に」
「え、ええ、そうです……」
「案内頼む」
「はい」
俺と千里は出来る限り急いだ。
とにかく速く、と。
軽いと言えど背中にしかも不安定なままで何かを背負うというのは大変だ。
ローズが崩れ落ちないようにしっかり支えながらいそなくてはならない。
「シルバー様、もう直ぐです!」
その言葉通り、少し走ると木で出来た立派な門があった。
ここが、狐の村への入口。
その門の少し手前に境界線が張ってあった。
そこに千里が入ったとたん、ヒトガタになった。