Magic Rose-紅い薔薇の少女-
「姉様方ぁぁぁぁ!!」
シルバー達のいた屋敷より狭い家の廊下を走り抜ける一人の少女。
顔立ちは何処か千里に似ている。
「あらあら、万里ったらそんな慌てて……転んでしまうわよ?」
「杏里姉様!」
頬が紅潮している。
よっぽど急いだんだろうと、杏里は密かに思った。
「どうかしたの?」
「それがっ……」
「あ、杏子、丁度いいわ貴女もこっちにいらっしゃい」
「もうっ杏里姉様話を遮らないでっ!」
「あらあらごめんなさいね、さぁどうぞ?」
「うんっ、えっと……
千里姉様がっ番人様と、響堵様と帰ってきたのっ!!」
ハフハフッと犬みたいに尻尾をパタパタ振り、興奮している。
「万里、落ち着いたら」
「杏里の言う通りよ、まぁ分からない訳でもないけど」
瓜二つ。
杏里と杏子にはその言葉がぴったりだった。