Magic Rose-紅い薔薇の少女-
私は千里に頼まれ番人様の眠る部屋へと向かっていた。
そして襖(ふすま)を開けようと手をかける。
「ローズ」
シルバー様?
「まだ終わっていない。
カルタスに勝つんだろ?だから…………」
シルバー様のお気持ちが痛いほど伝わってくる。
「さっさと目を覚ませ……」
私は深呼吸をして、襖を開けた。
「失礼します」
「貴女は……?」
「お初お目にかかります、シルバー様。
わたくし千里の姉、杏里と申します」
「千里の……?」
「ええ、千里からお話は伺っておりませんか?
わたくしが例の看護師でございます。
厚かましいですが、腕は確かでございますのでご安心を」
「あ、ああ、村一番の……」
「そんな恥ずかしいです、村一番だなんて……」
千里ったらそんなこと言ってたのね。
あの子ったらもう……。
頬が揺るんだ気がした。