Magic Rose-紅い薔薇の少女-


私は千里に頼まれ番人様の眠る部屋へと向かっていた。
そして襖(ふすま)を開けようと手をかける。

「ローズ」

シルバー様?

「まだ終わっていない。
カルタスに勝つんだろ?だから…………」

シルバー様のお気持ちが痛いほど伝わってくる。

「さっさと目を覚ませ……」

私は深呼吸をして、襖を開けた。

「失礼します」

「貴女は……?」

「お初お目にかかります、シルバー様。
わたくし千里の姉、杏里と申します」

「千里の……?」

「ええ、千里からお話は伺っておりませんか?
わたくしが例の看護師でございます。
厚かましいですが、腕は確かでございますのでご安心を」

「あ、ああ、村一番の……」

「そんな恥ずかしいです、村一番だなんて……」

千里ったらそんなこと言ってたのね。
あの子ったらもう……。

頬が揺るんだ気がした。

< 168 / 258 >

この作品をシェア

pagetop