Magic Rose-紅い薔薇の少女-
「千里を呼んできてくれないかね」
「はっ!」
「失礼します」
私はおばば様に呼ばれた。
「おばば様」
「千里、話があるんだ、いいかね?」
「はい、勿論です」
ゴクリと唾を飲み込む。
私は番人様を守りきれなかった。
どんな罰が待ち受けているのやら。
いや、いつかこうなることはわかっていた。
だって私、黒い狐だから……。
しかしおばば様が口にした言葉予想外のものだった。
「響堵は、番人様を守れなかった」
響堵は……響堵は……
頭の中で繰り返す。
守れなかったのは私じゃなくて、響堵兄ちゃんだって言うの?
「でも……」
私は反論しようと口を開いた。
しかしおばば様は九本の尻尾を出し、妖気に包まれた。
怖い。
「命をかけて守ったって死んだ後に番人様に何かあったんじゃ……」